
シャトー カノンでは500年前から同じ畑でブドウが栽培され続けています。この土壌の上層部である第1層は、所々青みがかったオークル色をしており、深さは30㎝から1m。粘土と石灰岩の粒でできた土壌で、ブドウ樹の根の大部分はこの層で広がり、養分を得ています。ブドウ樹を植え付けるこの層の土壌は、根本的な味の特徴を生み出すことはありませんが、ワインに微妙なニュアンスをもたらします。
第1層
粘土石灰質の土壌
数百万年前からシャトー カノンの土壌は不変であり、一定の均質性を保っています。粘土の混じった石灰質の基盤の上で、ブドウ樹はゆっくりとバランスよく成長します。太古からの堆積土に根を張り、特にこの粘土石灰質の土壌において成熟が促されます。
ブドウ樹への養分
根の発達
サンテミリオンは、ドルドーニュ川へと緩やかに下る坂状の石灰質台地にあります。かつて海であった第3紀堆積岩のヒトデ石灰岩は、組織の浸食から生じ、ヒトデに似ていることから名付けられました。海と風に浸食されてできた海中のレリーフは、ブドウ樹にとってミネラルの宝庫であり、サンテミリオンの地下層が数百万年前の自然の力で形成されたことを証明しています。
第2層
ヒトデ石灰質の地下層
基盤となる石灰岩がブドウの根と地下で接触することにより、ワインに特徴がもたらされます。それは、石灰岩がスポンジのように機能し、必要に応じて根に水分を与えるからです。つまり、保水するこの地下層が、より時間をかけて、より調和のとれたブドウの成長を可能にするのです。悪天候に対応し、大雨の時は水を吸収し、干ばつの時は水分を供給します。また、土地の自然な傾斜も、水はけを高めています。非常に細かい穴のある石灰岩は30~40%吸水することができ、水を循環させ、また蓄えることができます。つまり石灰岩が規則的に適切な量の水分を与え、ゆっくりと順調なブドウの成長を促します。このことが、鮮やかな色と繊細な香りを持つ、複雑でフレッシュ、かつエレガントなワインを生み出すのです。タンニンも程よく、口当たりのフレッシュさや余韻も特徴的で、年を追うごとに熟成される潜在性を持っています。
ブドウ樹への養分
水分の貯蔵
シャトー カノンのブドウ畑の下には、30㎞にわたる地下回廊が隠されています。世界でも珍しく、秘密に保存されてきました。幾つかのブドウの根は粘土質の基盤の割れ目まで伸び、8mの深さにまで達しています。構造地質の動きによって地質の割れ目が徐々に埋められていきますが、ブドウの側根は地下8mまで分け入り、数世紀にわたって人々が石灰岩を掘った結果としてできたアーチ形の天井を、雫を滴らせながら這っています。そこに辿りつくには、醸造所地下へと続く数十段の階段を下り、昔の地下貯蔵庫を横切り、地下の底へと向かわなくてはなりません。
第3層
30㎞にわたる地下の石切り場
この深さにおいては温度はほとんど変化せず、一年を通じて13℃程ですが、一方、湿度は高くなります。かつてサンテミリオン地区と近隣のシャトーを作るために石切りが行われ、その役目を終えた後に現存している地下回廊は、まるで石灰岩でできた大聖堂のよう。サンテミリオンの歴史を物語っています。